感染症の怖さを考えた1日

  今年も敬老の日を迎えました。日本は超高齢化の波が一気に押し寄せており、平成25年になると、65歳以上の高齢者は3,000万人以上にも達すると報じられています。4人に1人は高齢者になるのです。高齢者は、人間の個体発生という生きもののルールから考えると、すべての生物と同じように外敵を撃退する免疫力が弱くなっています。したがって、毒性や感染力が弱い病原体でも、それを攻撃する力が弱くなり、重篤な感染症に苦しむような状況が生じてきます。この意味では、日頃から、免疫力を強化するような生活を心がける必要が出てきます。

  そんな中、先般、抗生物質が効かない新しいタイプの耐性菌が国内で検出されたことが大きく報じられていました。特に、欧米やインドなどで感染が広がっている多剤耐性菌のNDM1という遺伝子をもつ大腸菌が見つかったのです。この遺伝子は、ニューデリー・メタロβラクタマーゼという抗生物質を分解する酵素を作り出すので、もし、この遺伝子が感染力や毒性の強い細菌に入り込むと、感染者は抗生物質の治療が困難になってしまいます。本当に怖いことです。

 

  人間は、微生物間で他種を撃退する物質を抗生物質として発見し、それを医薬品に開発しました。したがって、この抗生物質に感受性のある微生物は、抗生物質によって増殖は停止したり殺菌されるのが常でした。しかし、むやみに抗生物質を乱用すると、それに耐性をもった菌が生き残り、抗生物質に耐性の菌が生まれてくるのです。最近見つかった多剤耐性のアシネトバクターや緑膿菌は、始末の悪いことに、免疫力が低下した方に感染し多臓器不全などを引き起こします。自然界に普通に存在する菌が多剤耐性になり、免疫力の弱い方に感染していくのですから、また、抗生物質は効かなくなるのですから、本当に大きな問題なのです。

 

  ぼくは、こうした感染症を撃退する上で大切なことは、生まれつき備わった免疫力を低下させないようにすることであると考えています。それを達成するのは、日頃の生活習慣を見直すことです。特に、食生活と睡眠は、是非とも見直してほしいポイントです。食生活では、微生物を撃退する免疫細胞に属しているマクロファージやNK細胞、リンパ球の機能を高める食材を意識的に摂取してほしいことです。また。睡眠は最低でも6時間はとってほしいと考えています。一般的に、夜間にリンパ球が働いています。もし睡眠時間が短いと、交感神経が過剰に作用して、つまり副交感神経の出番が少なくなり、リンパ球は働いてはくれないからです。

 

  微生物も生きものです。彼らも必死で生き抜こうとしています。人間が開発した抗生物質に対抗する方法を常に生み出そうとしています。こんなことを考えると、感染症を阻止するためには、抗生物質の乱用を避けること、免疫力を日頃から高めておくこと、そして手洗いやうがいなどの予防阻止を講じることなどが、とても重要なのです。今日は、そんなことを改めて考える1日になりました。

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