ヘルマンハープの素晴らしさに感動

  去る10月13日、慶應義塾大学日吉キャンパスにある藤原洋記念ホールで、ヘルマンハープ演奏会が開催されました。私はこの楽器の普及に努めておられる日本ヘルマンハープ協会の梶原千里理事長から光栄にも依頼を受け、祝辞を述べる機会がありました。日本では、ヘルマンハープという楽器を知る人はまだ少ないと思いますが、それは普通のハープの半分以下の大きさであり、とても運びやすい形をした小型の弦楽器なのです。この楽器を演奏するには、弦の下に特製の楽譜を差し込み、音符代わりの印に合わせて順々に弦をはじいていくことが必要であり、弦をはじくと、優しく純粋な音が生まれてきます。この方法であれば、たとえ五線譜が読めなくても、またたとえ身体に障害があっても、自由に弾きこなすことができるのです。

  実は、この楽器は、ダウン症の息子さんに、演奏の喜びを感じさせてあげたいと強く願うドイツのバイエルン州出身のヘルマン・フェー先生が、今から20年以上も前に考案して作られた真心の楽器なのです。今回の演奏会では、ドイツでヘルマン・フェー先生が率いるアルペジオと呼ばれるアンサンブルによる素晴らしい演奏がご披露されました。このアンサンブルはダウン症の方を中心として形成されており、私はしばし我を忘れて、純粋で透明感のある音色に聴き入っていました。

 
ヘルマン先生と和合先生.JPG

  さて、ヘルマンハープから生まれる音には、弦楽器という特長から、非常に周波数の高い心地よい音が豊富に含まれています。その結果、その音色は自律神経に穏やかに作用し、私の心身は安静に導かれました。私は今日、ヘルマン・フェー先生がダウン症の方を救ってあげたいと願って考案してくれたこの楽器こそ、医学的にみて「音楽療法楽器」ではないかと考えています。音楽は作曲家の感性に基づき生まれます。そして、その音楽にはドレミの音符から生じる無限の多様性が存在しています。この音楽が音楽療法楽器によって奏でられる意味は大きく、患者さんの心身に深く浸透して、さまざまな病気の症状を緩和してくれるものではないかと思いました。

 

  さて、私は「音楽という聴覚情報を活用して、患者さんの病気を改善させられないか」をテーマに、健康を支える生体機能に音楽がいかなる影響を及ぼすかについて長年のあいだ研究してきました。よく知られているように、音楽には心に作用する力や人間同士の関係に作用する力、また直接人間の生理機能に影響する力があります。今回、感じ取ったヘルマン・ハープの音には、人間の心に作用する力と生理機能に及ぼす力が大きいのではないかと感じました。

 

  演奏会の後、演奏者とともに懇談する懇親会が開かれました。この席上、私は幸いにもヘルマン先生と親しく懇談することができ、先生のお話の中に秘められた患者さんへの愛情や優しさ、そして先生の人間味あふれるお人柄にも接することができ、とても感銘を受けました。改めてこのような機会を与えてくださった梶原理事長に感謝せずにはいられません。加えて、日本国初代の総理大臣であった明治時代の伊藤博文公のお孫さんのご夫人とも自由なお話ができ、至福のときを過ごすことができました。こうした偶然の出会いは本当に貴重なものであり、忘れることはできません。

 
ヘルマンハープの演奏.JPGのサムネール画像

  今回体験したヘルマン・ハープの音色が、これからも国境を越えて、すべての人々の心に安らぎと和やかさを導き、世界平和の構築に役立ってほしいと強く願う1日でした。

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